アヒルのぬいぐるみと愛を知った野生児
実家のシュナウザー福丸にあげるアヒルのぬいぐるみが届いた。思ってたより大きくて、そして思ってたよりかわいい。
母が我が家に来た際に渡すと、「せっかくだから自分の手であげなよ」と粋な提案。
近所とはいえ「実家に行くのはきっとまだちょっと先だな、早く喜ばせたいな」とか思ったんだけどね…自分の天才的なひらめきのおかげで、今となっては可能な限り先延ばしたいくらいさ。
どんなひらめきかって?
家にいる間中、このぬいぐるみを小脇に抱えて生活し、私の匂いを染みつけてから福丸に渡してやろうと思いついたんだよ。だからベッドも共にしている。お風呂上りは逆にぬいぐるみを遠ざけて、お風呂入る直前こそ強く抱くよ。そっちの方が高純度のKakiokiフレーバーがつくじゃんか。
そうだよ変態だよ。
私は末っ子だから、歴代飼ってきた犬はおしなべて私を下に見がちなんだけどね。なぜか先代シュナ2匹も、今シュナ福丸も、みんな私が好きという謎現象。
近所を散歩しているよそ様のシュナさえも、なぜだか私を見るとみんな立ち止まったり、振り返ってまで目で追ったり、寄ってきたりしてくれるの。本当に謎。
飼い主さんが「やだ!もうこのコは…ごめんなさい?ほら行くよ、あぁ!すみません!」とかって気を使ってくれまくるから申し訳ない。「すみません…私がシュナに異常に好かれる体質でして…分泌物かなにか、pH値的ななにかですかね?」って正直に言いたい。切実に質問したい。
でもいくら変態の私でもそのあたりはさすがにわきまえてるから言えない。
私、シュナ界隈で人気の誰かに似てんの?それとも猫でいうマタタビ的ななにかなの?
実家の福丸も異常に私を好いてくれる。家に行くと、比喩じゃなく本当に「キャアキャア」言って熱烈歓迎してくれる。なんなんだろ。私の何がそんなにいいんだろう。嬉しさはもちろんある。けれど以前我が家にいた柴犬に至っては、16年と6ヵ月の間ずっとキバを剥かれていたからね。無視されてたし。だから戸惑いの方が大きい。
ヒトの優しさに生まれてはじめて触れた野生児並みの戸惑い。孤独を飼いならし生きてきたアウトサイダーが、はじめて愛を知ったとき並みの戸惑い。自分本位に好き勝手生きてきたクズが、自分より大事なものを見つけたとき並みの戸惑い。
(どんだけ戸惑うんだ)
来週のどこかで、福丸とこのアヒルを引き会わせようと思う。スンガスンガ、匂いを堪能してほしい。私から福丸に贈る、暑中見舞いですよ。