パリス・ヒルトンと和解せよ。
私の世代にとって、パリス・ヒルトンといえば常識知らずのお騒がせセレブ。泣く子も黙るパーティーガール。名前を聞いただけで、ちょっと失笑というか嘲笑というか、そんな存在。クラブに入り浸り、恋愛遍歴も凄まじく、挨拶がわりに婚約して挨拶がわりに婚約破棄する。逮捕歴は2回。ゴシップネタを次々に提供してくれちゃう破天荒なパリス。自分は何をされたわけでもないのに「あ〜パリスはねぇ…()」なみたいに言いたくなっちゃう。見て見ないふりをしながら、ガン見したくなっちゃう。それがパリス・ヒルトン。
8月4日に配信されたNetflixの新シリーズ『Cooking with Paris』(邦題は『パリスとお料理』)を観たらパリス・ヒルトンが好きになる。もう大好きになる。マシュマロに入れたグリッターが食用だっただけで、お利口さん!って褒めたくなる。店員さんに質問するときに「エクスキューズミー」って声を掛けてるってだけで好感度爆上がり。
出典:Netflix
私はアメリカのポップカルチャーに疎いんだけど。(まぁどこの国のポップカルチャーにも疎いんだけど)各エピソードのゲストと内容(再生時間)はこんな感じ。
- キム・カーダシアンと夢の朝食(26分)
- スウィーティーとタコスナイト(23分)
- ニッキー・グレイザーとヴィーガンバーガー(25分)
- デミ・ロヴァートとイタリアンナイト(27分)
- レレ・ポンズとホリデー料理(25分)
- キャシー&ニッキー・ヒルトンとステーキディナー(22分)
毎回ゴージャスなドレスを着て料理をするんだけど、毎回「このドレスは料理向きじゃないわ」とか言う。けど毎回ゴージャスなドレスで登場する。スター錦野みたいなシャラシャラがぶら下がったレザージャケットとか、フワッフワやキラッキラなドレス。お姫様みたいに裾を引きずるドレスも着る。
お気に入りアイテムなのか、毎回手袋をして登場する。コーディネート最優先で、料理中でさえ絶対に手袋を脱ぎたくないパリス。おしゃれな手袋の上から、ゴム手袋をするもんだから意味が分からない。「ストーンがとれちゃったら悲しいわ…」とか言いながら、おしゃれ手袋にゴム手袋を重ねるの。それで破れる。なにしてんだ?って思ったら負け。
料理の合間にもセルフィーを撮る。「ポテト作りイケてる」とか言いながらポージングするんだよ。もう意味わからん。料理中も保湿スプレー振りかけて、メイクも直す。ハートが好き、キラキラが好き、ピンクが好き、ユニコーンが好き、自分が好き。
無人島に持っていくのはラメらしい。すごい。
料理は好きだけど道具の名前を知らないパリス。泡立て器もトングも知らないってすごいよ、パリス。いかに自分がカタチから入っていたかを痛感させられるね。
「無人島にラメ」発言といい、胸がアツくなるような金言の宝庫で、メモ帳片手に干渉してるよ。(マジで)
ゲストもゲストでなかなかクセが強く、先っちょが出てないだけのおっぱいボロりんドレスでフライパンを振る。長~いネイルをしたゲストが、ぎこちなく包丁でピーマンを切る。「その爪だと難しいの?」とパリスが聞くと、「爪は長いほうがいいわ」と答えるゲスト。あまりに迷いがなく、自信満々に答えるので観ている私は「そうなのか」と錯覚する。実際、アッツアツの料理も、爪でつかめて便利そうだった。料理が焦げても「これはウェルダンよ、理想的な仕上がり、嫉妬しないで」とか言う。でもめっちゃ焦げてる。
新しい言葉やキャッチコピーを思い浮かぶたび、「商標登録すべき」とか、「すでにしたわ」とかいう会話はなんなんだ。
観ていて気付いたけど、パリスって喋り方に抑揚がないんだね。なんでもマイペース。強い言葉と、大袈裟な表情や身振り手振りでアピールする必要がないんだな。ホンモノのセレブは。さすがヒルトンホテル創始者の曽孫だ。
1シーズン1日で観きれてしまうけど、どんな料理にも食用グリッターふりかけパリスに若干胸焼けを起こす。