ここに置いておきますね。

脳みそから取り出した駄文の書き置き

香りトリガーの思い出さんぽによる精神的苦痛

近所にお香を焚くおうちがある。その香りが強くて、体調によってはしんどい。正直「もう勘弁してくれ!」と叫びたくなる日もあるが、私にはご近所さんに強く出れない理由がある。

  1. お互いに分譲であること
  2. 記憶を呼び起こされて、嗅ぐたびに思い出さんぽに出かけるから腰砕け

ご近所さんが焚いているお香は、チャンダンだと確信している。私の嗅覚の記憶が、そう叫んでいるから間違いない。

おかげで洗濯物を干すたびに、思い出さんぽに出かける私。(ちなみにこの"思い出さんぽ"というパワーワード安住紳一郎氏がラジオで話していたのを拝借。本当にあの人の感性は変態的で素晴らしいよね。)

高校〜短大生の頃、インド雑貨屋さんがブームだった。

安価で、デザインも色彩も日本人には目新しく、強烈に個性を求めているティーンエイジャー界隈には最高の味方だった。その中でも安くて異国情緒を楽しめるチャンダンというお香が、とんでもなく人気だった。

 

見たことある人、多いんじゃないかな。どんな香りか想像できない方、脳内インド雑貨店に行って。(それかドンキ)香りの記憶を思い出して。思い出した?それ。

私の周りのティーンエイジャーは、みんなこの異国の香りに心酔していた。猫にとってのママタビのよう。(香りなんて、めちゃくちゃ好き嫌い別れるところなのに、みんな同じ匂いが好きになるあたり、やはり個性がなくてティーンエイジャーかわいい)

人間の記憶を強烈に呼び覚ますのは、やはり嗅覚。
松本大洋氏の漫画、SUNNYでもそんなシーンがあったよね。

親に捨てられ施設で暮らす男の子が、お母さんの匂いがするニベアを嗅ぐんだ。(だめだ、思い出しただけで泣いちゃう)

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男の人がニベアの匂いで郷愁を感じるのはよくある話。(ところが女性に至ってはニベアガッテン塗り“なんていう言葉があるくらいですからね。ニベアは常に懐に入っているようなもんで、母のことを思い出して心がしんみりするなんてことは一切ない)

話を戻してチャンダンですけど。

香りの種類としてはココナッツのような甘ったるい感じ。大人になってからの素直な感想は、“嗅ぎたい時以外、嗅ぎたくない香り”というのが正直なところ。香りもひとつの情報なので、自分自身が受け取れる状態かどうか、というのに左右される。(悲しいほど)

学生の頃は、自分の持ち物にすらチャンダンの香りをまといたかったのよね、私も。

香水なら振りかければいいんだけど、お香は焚いて煙を出さないとならん。ってことで自室を密室にして、煙焚きまくる(やべぇヤツ)。それも深夜ね。なんで深夜かというと、昼間だと親に怒られるからね。

「匂いキッツ!いい加減にしなさいよ!?」ってね。

親の言うことがもっともだとしても、不当に抑圧されている!と誤変換するティーンエイジャー。おかげで「家を出たい」「自分だけの城(家)を持ちたい」という自立心が芽生えるのだから、それもある種のイニシエーション。

しかしながら当時、狂ったようにチャンダンの香りを肺に入れまくったせいで、私の中のチャンダンのコップはすでにいっぱいになってしまったようだ。

夏を迎え、冬でも漏れているチャンダンの香りを、窓全開で外に放出するご近所さん。私たち夫婦がこのマンションに引っ越してきた時から、外はずっとこの香りがしている。

いつかご近所さんのチャンダンのコップがいっぱいになるだろうと期待しているけど、まだみたいだね。(すでに3年経過)

みんながみんなに心地良い世の中になったらいいよね、って思うよ。(だから窓を閉めていただきたい)

私だって大好きなキンモクセイの香りを、夫に「トイレの芳香剤」と言われて以来、ひそかに楽しむにとどめているんだからさ。頼むよ。