不義理な秋支度〜支配からの卒業〜

結婚してもうすぐ10年なんだけどさ、結婚する時に羽毛布団を戴いたのよ、義実家に。

もう何十年も前に店は畳んでいるが、義実家は元布団屋でしてね。息子2人の、未来の嫁たちにあげたくて、とっておいた代物らしい。身に余るほどの、高級羽毛布団。

羽毛布団って、本当にピンキリっていうのか、青天井っていうのか。相場が3万円〜300万円、みたいな感じらしいのよ。イヤホンみたいだよね。(例えに出してくるモノが稚拙)

で、私の羽毛布団がどれくらいランクかって話ね。

我が家で、家の中に収まっているものの中で、一番高いモノが何かって考える。たぶんエアコンかなぁ。30万円したんだよね。一台で全居室カバーしようとしたら、そうなったんだけどね。(一番貧乏くさい理由)  私が戴いた羽毛布団は、30万のエアコンの次に高価。あ、夫の分とで2枚だから、結局エアコンより全然高いわ。

ただね、これ、別に自慢じゃないのよ。これを話すのは。マージーでッ！戴いた瞬間から気が重くてさ、鎖(くさり)感半端なかったのよ。

これから話すのは、ホンモノって時に人を苦しめるなって話なんだけど。

自分には価値がわかるからって、相手の反応を見定めずに押し付けちゃいけないんだなって、ちょっと反面教師になったんだよ。(義母すまん) 「良い物だから！」と言われるがまま受け取った私だったよ。新婚ホヤホヤでさ、義実家での嫁の居心地の悪さったらない中でね、高級羽毛布団を受け取ったんだよ。なかなかにしんどかった。

もらってはみたものの、手入れとかまったくわからないし、詳しく聞いても禁止事項を言われるだけなの。「直射日光はダメ、陰干しで！」みたいなさ。

いやそうじゃなくて、やると長持ちすることとか、ケアの方法を知りたいのよ、私は。そう質問しても、次はいかに良質な羽毛布団かを語られてしまうのね。禁忌だけを植え付けられ、良いものだから丁重に扱うようにと言われ、苦手意識の刷り込み大成功ですよ。「どれくらいペースで干せばいいの？そもそも干していいの？汚しちゃったらどうすればいいの？」とかいろいろ聞きたかったんだけどなぁ。(なんなの？高熱出しても、布団でゲロとか吐かない設定なの？)

それから10年、正解なんだか間違っているのかよくわからないケアで使い続けた羽毛布団。「風通しときゃ干す必要もないから！」みたいなのも言われた気がしたけど、ちゃんとバッチリ重厚にスパイシーなオイニーするんスけど。何十万円しようが、不潔な羽毛布団では寝れんのです。

戴いたばかりの頃にいろいろ注意されたので、質問することすらもしんどくなった新妻Kakioki。あまり食い下がっても「はっは〜ん、さては使いこなせてないな？」と思われるのも嫌だったし。(嫁という生き物の哀しき習性)たま〜にそれとな〜く入るチェックにも「快適ですよ〜」と言って流していた。

まぁ実際質問したところで「汚さないようにね！」しか言われなかったな。あの羽毛布団はビニールつけたまま使うやつだったかもな。

そんなこんなでもう毎年秋冬あたりから、羽毛布団を出すのがマジで気が重かった。でも今年、私の中の何かが振り切れた。

いやこれマジで無理！なんで布団の臭い我慢して、寝なきゃいかんのよ！なんなの？布団ってそんな偉いの？なによりクセェわ！アホか！とね。

…で、コインランドリーに行ってきたよ。

高級羽毛布団、ジャブジャブ洗って、乾燥機にもね、ブチ込んでやりましたよ！お義母さんがこの事実を知ったら、白目剥いて泡吹くかも知れんね。昔の羽毛布団界では、コインランドリーでの洗濯は大禁忌だったからね。でも、もう、知らん！支配からの卒業！

たった1時間半で、たった2000円弱で、我が家の羽毛布団がフワッフワ。無臭だし、超清潔。私の気も楽になった。

また何年後かに行くわ！コインランドリー！

コインランドリー、愛してるよー！

(誰かを好きになるのに、時間は関係ないっしょ)

(たった1時間半の関係)

(節操なさすぎ)